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概要 (2023年秋学期)
国際政治学は安全保障学と国際政治経済学の分野に大きく区分されますが、本研究科では国際政治経済学が別途開講されることから、本講義は安全保障に重点を置きます。また安全保障論は多岐に渡る政策課題を包摂しますが、本年度の講義は、現在の日本が直面する政策課題と関連性の高い領域として国家安全保障、国際安全保障、経済安全保障、宇宙安全保障、民主主義安全保障を取り上げます。なかでも、報道などを通して広く認知される政策課題を取り上げることを旨とし、具体的には、敵基地攻撃・反撃能力、いわゆる平和安保法制、核抑止と核軍縮、サプライチェーンの強靭化問題、経済制裁、フォーリンテイクオーバー、フェイクニュースと情報戦争、宇宙安全保障などの問題を時間がある限り取り上げます。
授業運用とその目的について (2023年秋学期)
本研究科では本講義「国際政治」と多湖淳教授が担当する「国際政治学」の二つが提供されることから以下のような役割分担をします。すなわち、本講義「国際政治」では政策課題にシフトを置く内容である一方で、多湖教授が担当する「国際政治学」では学術研究のコアを理論・実証研究ともに深掘りすることに主眼に置きます。なかでも、本講義の目的は学術研究と政策課題を往復することです。手元の政策問題をどのように学術研究として解き起こすことができるのか、政策課題に有益な知見を与えるストックを既存の学術研究は持っているのか、そのギャップはどこにあるのか、あるいは政策課題はどのような有益な研究課題を学術研究に与え理論的あるいは実証的な突破口を示唆するのかなどを検討します。その為に、履修者には個々の安全保障上の政策問題を理解することを第一義的な目標として頂きますが、それと同等に政策上の課題と理論・実証・歴史研究の関係性を理解することも本講義を通した学習目標とすることを強く求めます。政策実務者が取り組む課題に対応する理論・実証・歴史研究の射程やその限界を明らかとし、そこにギャップがあれば、政策立案実施に資する理論・実証・歴史研究課題を同定することを目指します。学術の観点に立てば、国際政治学におけるこれまでの優れた研究は政策問題を理解し政策立案に資することを動機とするものが多くありますし、国際政治学研究コミュニティが取り上げる研究主題(例えば覇権安定論、核抑止、民主的平和、危機外交の国内政治影響、内戦、テロ、第三者介入、PKO、核不拡散など)は全てその時々の政策課題に応える社会要請の中で創発し発展してきました。他方で、政策立案の観点に立てば、昨今ではEBPM機運の高まりがある一方で、歴史の流れを決定づけるに至った外交政策や国際体制の成功事例の背後には研究者コミュニティと政策プランナーの強固な連携があります。イラク戦争時の対テロ対策と治安回復(ペトレイアス将軍)、核抑止態勢の確立とその維持(ランド研究所に集結した研究者と当局周辺の戦略プランナー)、国際安全保障政策としての民主化支援(クリントン政権時の転換)などが安全保障分野では挙げられます。受講者は国際政治に限らずとも、さまざまな領域で今後研究者としてあるいは各セクターの実務者としてEBPMや研究開発との連携を図る役割を担った時のために基本動作を会得することを目指します。
具体的な作業工程は以下の通りです。1)各政策案件の整理と課題の同定から着手し、2)対応する既存の理論ないし実証研究を特定し、3)理論・実証研究から得られる知見の妥当性を検証し、4)理論・実証研究から得られる含意および予測と政策含意を検討するなかで、5)理論・実証研究に限界がある場合は、それに応える研究(開発)課題の策定などを議論します。担当教員である栗崎は理論研究の専門家であるため、政策実務については可能な限り政策担当者や関連実務家をゲストスピーカーとして招聘します。
トピックとスケジュール (2023年秋学期)